恋するplants
恋するピオニー
ホームルーム
★
「お待たせしました。こちらハンバーグセットでございます。鉄板が熱くなっておりますので、お気を付けてお召し上がり下さい」
伝票をテーブルの端に置いてあるプラスティックの伝票入れに差し、一礼してその場を去る。
「すみません、コーヒーおかわり」
聞き慣れた声に振り向くと、秋川楓(あきかわかえで)が空のコーヒーカップを片手に持ち上げ、にやりと笑っている。
「当店はドリンクバーですので、勝手にどうぞ」
つい尖った言い方になり、秋川を冷めた目つきで見る。
「客に対する態度がなってない・・・」
「食べ終えたんなら、とっとと帰れば?」
「僕が悪かったよ。話があって来たんだ。茉雪、バイト何時まで?」
話がある・・・か、何となくその話が何のことを指すのか解る。
腕時計を確認する。
上がり時間まで後30分程だ。
「じゃ、茉雪(まつゆき)が終わるまで図書館に行ってようかな?執筆活動もしたいし」
秋川は伸びをすると、リュックを片手に立ち上がった。
同じ大学に通う秋川は入学して、演劇サークルを立ち上げた。
やってることは演劇部だった高校時代とさほど変わっていない。