恋するplants
「あ、今、あの人、くしゃみしたよ」
「え~、ゆかりが目が細いとか悪口言ったからだよ~」
「悪口じゃないもん」
きゃあきゃあ騒いでいるうちに扉が閉まってしまった。
今日の目の保養時間、終了。
電車がゆっくりとプラットホームを離れると、私たちはつり革につかまった。
大学までエスカレーター式の私立女子中学校に通う私たちは男の子と知り合う機会が全くない。
同じクラスの子で合コンをやって彼氏を作ってる子もいるけれど、中学生には早すぎる気がする。
でも、女の子なんだから恋だってしたい。
そんな時、○○駅のホームで彼を見つけた。
一目ぼれなんて信じられないと思ってたけど、気付いたら彼を探してる私がいた。
名前も知らないし、朝の通学で3分間、反対側のホームから見つめるだけだ。
それだけでもよかった。
私の心の中に芽生えた小さな恋のつぼみ、大事に育てよう。
いつか彼と知り合うきっかけができるまで・・・。