恋するplants


 ★


 外に出ると、少し離れた所に建つ図書館へと向かった。


 大学生になってから市営の運動公園の中にあるファミリーレストランでバイトを始めた。


 図書館や競技場なども隣接されている大きな公園で高校生の時からよく利用していた場所だ。


 四季によって変わる公園の草花を眺めながら帰ったり、休日にはレストランの目の前に広がる芝生で遊ぶ子供を声を聞いたり、そんな雰囲気が好きで始めたバイトだ。


 一階部分はガラス張りで外の光をとり込められるようになっている図書館もテスト前にはお世話になっている。


 一階から螺旋階段を降りた地下の学習コーナーに秋川の姿を発見した。


 秋川は私が近づいても全然気付かないで、机にかじりつきノートに何かを書き込んでいた。


 「秋川」


 小声で呼んでも気付かないので、ぽんと肩を叩いたら、うぉっと変な声を上げた。


 「茉雪か。ごめん、没頭してた」


 秋川はいそいそと机の上を片付けると、ここじゃなんだから外出ようと階段を指差した。


 軽く頷いて秋川の後について行く。


 図書館の前の自販機で缶コーヒーを2つ買い、横にあるベンチに腰を下ろした。


 びゅっと吹いた風が足元に散らばったイチョウの葉をさらっていく。


 秋深し・・・ここ2、3日でまた冷え込むようになった。

< 301 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop