恋するplants


 秋川はプルタブを開け、こくんと一口コーヒーを飲むとふ~と深いため息をついた。


 「実はさ、今朝、郵便が届いてたんだけどさ・・・」


 言い憎そうに秋川は顔をしかめる。


 「知ってる。畑中(はたなか)さん、結婚するんでしょ?」


 秋川が語る前に短く、答えた。


 秋川が驚いた様な表情をしてそっかと悲しげに下を向く。


 「私にも届いたの。結婚式の招待状。クリスマスに披露宴って・・・彼女らしいわね」


 言葉に詰まる。


 秋川はそれを察知したのか、


 「出席するの?」


 心配そうに顔を覗き込んでくる。


 「もちろん。行って、笑顔で祝福してやるわよ」


 皮肉たっぷりそう言うと、それは茉雪らしいと秋川は小さく噴出した。




 ★



 畑中椿。


 彼女と出逢ったのは高校1年の時。


 同じクラスだった。

 
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