恋するplants


 「それだったらいいよね?ね、ぼたん?」


 「・・・そうだね」


 今、思えば、これが最初だったのかもしれない。


 その時の私は、何も気付いてなかった。


 クラスでボーリングに行って1週間も経たないうちに彼は畑中椿と付き合うことになる。





  ★




 「初めまして、冬月柑子(ふゆつきこうじ)と言います。今日から3週間、みなさんのクラスで一緒に学ばせて頂くことになりました。よろしくお願いします」


 冬月先生が教育実習生として、私たちの教室にやって来たのは6月のことだった。


 背が高く、筋肉のついたがっちりとした体と日焼けした肌は健康的だった。


 短く刈られた髪はいかにもスポーツマンで、大学ではテニスのサークルに入っていて、担当科目は体育という、見た目が彼の全てを表していた。


 笑うと顔がくしゃくしゃになる顔やお昼休みにクラスの男子とサッカーではしゃく姿を渡り廊下から眺めると胸がときめいた。


 私は私の生活の中に突然、現われた歳の近い彼に恋心を抱いていた。


 「茉雪さ、冬月先生のことばかり追いかけてるよな」


 渡り廊下から冬月先生を眺めてると、突然、声を掛けられた。


 はっとして後ろを振り向くと、渡り廊下に続く扉から髪の長い男がこちら
を眺めていた。

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