恋するplants


 7・3で○○○の○太郎みたいに片目が隠れた男がこちらを眺めている。


 思わずと鳥肌がたった。


 「あ・・・秋川くん?何してるの、そんな所で・・・」


 その男の正体は秋川楓。


 同じクラスだけど、話をするのは今日が初めてだ。


 クラスの誰とも話さないし、休み時間は自分の席にかじりついてなにやら書き物をしてるし、みんなもあえて話しかけたりしない。


 いわゆる、クラスで浮いてる人だ。


 おそるおそる訊ねる。


 「茉雪はいつも冬月先生を目で追いかけてる。君は意識してるつもりないけどバレてるよ」


 秋川はそう言うとさっと扉の影に隠れた。


 「ちょっと!」


 何言ってるの?


 秋川を追いかけて扉の影を覗いたけど、そこに彼の姿はもう無かった。


 早っ!!突っ込みをいれつつも、秋川に言われた一言が気になる。


 私、冬月先生を見すぎてた?いけない。


 相手は教育実習生だとしても先生だ。


 ぱんぱんと軽く両頬を叩いて、心に芽生えた恋を摘んだ。


< 306 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop