恋するplants

1時間目



 ★


 じめじめとした空気が漂う、梅雨の放課後。


 私はみんなの帰った後の教室に1人残っていた。


 「あれ?茉雪、まだ残ってたのか?」


 教室を覗き込むと明るい声で冬月先生が声を掛けた。


 驚いて時間を確認した。


 嘘、もうこんな時間。


 慌てて机の上を片付ける。


 「すみません。すぐ帰ります」


 「何してたんだ?」


 冬月先生が私の前の席に座り興味津々に机上の紙を覗き込む。


 「新しい部を作ろうと思って。先生に提出する書類を作ってたんです」


 へ~と冬月先生は頬杖をつきながら書類を手に取った。


 新聞部ね~と頷きながら書類を読んでいる。


 「先生は戸締りの確認ですか?」


 そうと相槌を打つと一通り読み終えた書類を私に返した。


 「全部の教室確認して、後はこの教室だけ・・・」


 冬月先生はじっと私を見つめていた。


< 307 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop