恋するplants
1時間目
★
じめじめとした空気が漂う、梅雨の放課後。
私はみんなの帰った後の教室に1人残っていた。
「あれ?茉雪、まだ残ってたのか?」
教室を覗き込むと明るい声で冬月先生が声を掛けた。
驚いて時間を確認した。
嘘、もうこんな時間。
慌てて机の上を片付ける。
「すみません。すぐ帰ります」
「何してたんだ?」
冬月先生が私の前の席に座り興味津々に机上の紙を覗き込む。
「新しい部を作ろうと思って。先生に提出する書類を作ってたんです」
へ~と冬月先生は頬杖をつきながら書類を手に取った。
新聞部ね~と頷きながら書類を読んでいる。
「先生は戸締りの確認ですか?」
そうと相槌を打つと一通り読み終えた書類を私に返した。
「全部の教室確認して、後はこの教室だけ・・・」
冬月先生はじっと私を見つめていた。