恋するplants


 何がどうなっているのかわからない。


 2人が唇を重ねたところで、両手で目隠しをされた。




 雨がざぁざぁと降っていた。


 屋上へと続く扉へ打ちつける雨が響く。


 私はヒザを抱え、踊り場に座った。


 秋川が何も言わずに隣に座った。


 「知ってたの?2人が付き合ってるって」


 秋川は気まずそうに頷いた。


 「いつから?椿って同じクラスの子と付き合ってたじゃん」


 「彼とは1週間位で別れてた。冬月先生が来てからその週の日曜日にうちの店に2人が来たんだ。2人は気付いてなかったけど」


 秋川の家は雑誌でも紹介された有名なケーキ屋さんだ。


 そっか、だから秋川は私に忠告してくれたんだ。


 それなのに、私、ムキになったりして、ちょっと反省。


 先生のこと知らなかったのは自分の方だ。


 「それに、畑中さんって、よくない噂があって」


 どうやら椿は、クラスで目をつけた女の子が好きになった男の子を自分の物にすることにステータスを感じるらしい。


 わざとらしく、私に話しかけてきたのも、私に声をかけてきた男の子と付き合ったのも、冬月先生がいいなって思ってたことも椿にはバレてたんだ。



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