恋するplants
コーヒーが飲み終わると秋川と公園を散歩した。
子供は風の子とはいったもんだ。
薄着で奇声を上げながら芝生の上を駆け回っている。
「何か、人生もったいない気がする。まだまだ、色んなことを経験出来るのに、子供が出来たら、それにかかりっきりになるじゃん」
「でも、好きな人と結婚して温かい家庭を作るって夢だったら幸せだろうな」
「意外、茉雪がそんなこと言うなんて」
結局、椿とは2年のクラス分けでばらばらになり、高校を卒業してからは連絡を取ることも無くなってしまった。
卒業してから2年目に結婚式への招待状が届いたのにはびっくりした。
しかも相手はあの冬月先生だったからだ。
「冬月先生って今、何してるんだろうね?」
「スポーツジムのインストラクターだって聞いたけど」
そっか、それも合ってる気がする。
椿も冬月先生と出会って、付き合って結婚するんだ。
私にとっては初恋の冬月先生の結婚式、しかも花嫁はそれを知ってて私から奪ってった椿。
複雑な心境なのは代わりないけれど、時間が経ってみると、もうどうでもいい過去の話だ。
そんな過去を知っているにも関わらず、わざわざ私に招待状を送ってくる彼女の神経も解らないけど、呼ぶ友達が少ないのか、幸せな自分を私に見せ付けたいのか。
「茉雪がふっ切れてるみたいで安心した。これから僕、大学に寄るからこの辺で」
秋川と公園の入り口で別れた。
1人になった途端、寂しさが胸にこみ上げて来た。
誰かと一緒にいたいと思った。
携帯を取り出すと電話をかけた。