恋するplants
予備校に通ったが、その年の受験は文学部を選んだ。
両親もできる兄がいるから諦めたのか蓮の選択に対して何も言わなかったのだという。
蓮の地元はこの町だったけれど、蓮が中学生の時にお父さんは個人病院を開くため、家族を連れて他所の地に引っ越した。
高校と進み、大学は地元を選んだ。
蓮はこの街に戻ってきた。
なので蓮は今、家族から離れて1人暮らしをしている。
とはいっても、蓮が住むのは海辺に建つ1軒家、家族が別荘として購入した家に大学1年の時から1人で住んでいる。
安月給ながら、一軒家を与えられ、車を持ち、スーツもブランド物で固める蓮を見ると、お父さんと折が合わないと言いつつも、生活するにおいてかなり支えてもらっているんだなぁと実感する。
蓮は言わずと知れたお坊ちゃまなのだ。
だからと言って、それを自慢するわけでも、卑下するわけでもない。
ただ、さらっと流すように話すだけだ。
まるで自分じゃない誰かの話をするみたいに。
蓮にはそういうところがある。
★
シャワーを浴び、蓮のパーカーを頭から被った。
洗面台の前で髪を乾かして、軽く結び、メガネをかけると蓮のいるダイニングへと向かった。