恋するplants


 昼休み、新聞部の部室でお弁当を広げていると、秋川が部室に現われるなりそう訊ねた。


 この頃の秋川は髪を染めて、すっかりクラスに馴染んでいた。


 どうやら秋川は私と同じように極度の人見知り体質だっただけらしい。


 1年も半年を過ぎる頃には、クラスにも打ち解けてた。


 相変わらず、彼、独自のワールドを持っていて、それには若干引かれてはいるけど。


 2年になってクラスが離れた私たちは、私が立ち上げた新聞部と秋川の立ち上げた演劇部の部長同士として部室を共有している。


 しかも、5人揃わないと部としての活動が出来ない我が校のルールから苦し紛れに新聞部と演劇部を合体させ、中学時代の後輩を入部させるという強硬手段にでた。


 というわけで、クラスが離れても秋川とはほぼ毎日顔を合わせている。


 「茉雪のクラスだよな?僕のクラスでもすごい噂になってる。僕のクラスにも実習生いるのにそっちのけで」


 「秋川、何か勘違いしてない?私が教育実習生をみんな好きみたいな言い方しないでよ」


 私はピコピコハンマーで秋川のおでこを小突いた。


 ピコンと音が響く。


 今では、100円ショップで買ったピコピコハンマーが私のアイテムになっている。


 秋川がくれたミニサイズのピコピコハンマーキーホルダーは私の定期入れについていて、最近は出番が少ない。


 「実は、ここだけの話、池見先生に茉雪のこと聞かれたんだよね」


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