恋するplants
教育実習最終日で、池見先生の顔を見ないですむと思うとせいせいしてるのに・・・どんだけ自意識過剰なんだよ。
何も言わずに、池見先生の顔をじっと見つめていると、池見先生はくすりと笑った。
「今日、茉雪が日直だろ?日誌取りに来て忘れていくってどんだけうっかりなんだよ」
あ、しまった。
私としたことが・・・担任に他の用事を頼まれてすっかり忘れていた。
池見先生に近づき、手に持つ日誌を受け取ろうと手を伸ばすと先生は日誌を高く上げた。
170cm近い私より更に10cmは高い先生が腕を伸ばすとさすがに私も届かない。
「渡しに来てくれたんじゃないんですか?」
「条件がある。今日、最後の授業があるから茉雪、サポートしてくれ。それと・・・」
先生はジャケットのポケットからメモ用紙を取り出すと、私の手の平にぽんと置いた。
「俺の携帯の番号。聞かなかったのクラスで聞かなかったの、茉雪だけだ。特別に教えてやる。そこのメールアドレスに、今日の俺の授業の感想を送ってくれ」
「何で私が?」
「頼むよ、日直」
先生はにっこりと笑うと日誌で軽く私の頭をポンと叩くと背を向けて、職員室に入って行った。