恋するplants
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授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
池見先生は板書をする手を止めると、振り返り、教卓に教科書を置き、
「え~、これで僕の授業を終わります。みなさん、この3週間、ありがとうございました」
と丁寧にお辞儀をした。
「白樺(しらかば)先生、短い間でしたが、丁寧なご指導ありがとうございました」
池見先生は教室の一番後ろのパイプ椅子に座る日本史担当の白樺先生に深々とお辞儀をした。
「池見先生、最後に何か一言あればみなさんに伝えて下さい」
還暦を過ぎている白樺先生はゆっくりとした動作でパイプ椅子を畳み、池見先生に向かってにっこりと微笑んだ。
「はい」
池見先生は少し緊張した面持ちになると卓上の軽く片付けて、生徒たちに向き直った。
「3週間、このクラスでみんなと過ごせてすごく楽しかったです。みんなと接して、自分が高校生の時を思い出し、懐かしくもありました。みんなが過ごす高校生活は大人になって振り返った時に輝かしい思い出になると思います。大学生の僕がこんなことを言うのは生意気かもしれませんが、仲間と過ごす時間を大切に過ごして下さい」
池見先生は生徒1人1人の顔を確かめながら話を続ける。
「僕はこの学校で白樺先生の引率のもと、日本史の授業に参加して、教師になりたいと改めて思いました。僕は僕の夢を叶えるために一生懸命頑張りたい。みんなもそれぞれ、夢を見つけて邁進して下さい」