恋するplants


 こちらから見て、入り口側、一番手前に座る男の人が今回の主催者らしく、麻田さんに声をかけた。


 「適当に座って。好きな飲み物選んで、乾杯しよう」


 主催者の彼は立ち上がり、麻田さんたちを自分とは反対側の座布団が敷かれた席に促し、ドリンクメニューを渡す。


 私は呆然としてその場に立ちつくしていた。


 一番奥に座る人に面識があったからだ。


 そして、彼も私を見上げ驚いた表情をしている。


 池見蓮がそこにいた。



 
  ★

 

 「えっと、池見蓮です。年齢は25歳。一浪したから他のみんなより1つ年上です。中学の非常勤講師をしています。担当は社会科です」


 当時、パーマをかけた髪型はストレートに戻し、前髪を少し長めにして片方に流している。


 白い半そでシャツにベージュのベストを合わせ、紺と深緑のタータンチェックのくるぶしまで細身のパンツを履いている。


 スーツ姿のくるくるパーマの池見先生を思い出すとあの頃より今の方が幼く感じられた。


 3年も経つんだな・・・自己紹介をする池見先生を見ながらそんなことを思った。


 初めはお互い、緊張してるのが感じられた合コンだったけれど、お酒が入るとそれぞれテンションが上がり饒舌になり始めた。


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