恋するplants


 「久しぶりだな。2年C組 出席番号32番、茉雪ぼたん」


 池見先生の横に立ち、柵に手をかけると、彼はそう小さく言った。


 「お久しぶりです」


 少し間を置いてそう答えた。


 池見先生を見ると彼は池の奥に視線を向けていた。


 「何回か、メールしたんだけど、無視したよね?俺、かなり傷ついたんだけど」


 「それは・・・」


 言葉に詰まる。


 実は、教育実習最後の日に授業の感想のメールを送った後、先生は返信をくれた。


 その後も元気?とか今度、遊び行く?とかお誘いのメールが度々送られてきたのだ。


 それが面倒で無視してたらいつの間にかメールは来なくなってしまった。


 池見先生と顔を合わせずらいのにはこの理由もあったのだ。


 「・・・すみません。でも、教育実習生でも生徒を誘ったらダメです。他の子は喜ぶだろうけど・・・」


 きっと、あの時の同じクラスの女子だったら、喜んで誘いにのってた。


 池見先生は確かに人気があったから。


 椿と冬月先生みたいに?何か嫌なこと思い出しちゃったな・・・


 「他の子にメールしてない。茉雪だけだよ」

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