恋するplants


 ぽそりと呟いた。


 え?訊き違い?池見先生の横顔を見つめる。


 池見先生はまっすぐ前を見たまま、優しく微笑んだ。


 月明かりが照らす彼の表情にどきりとする。


 「茉雪、見て」


 池見先生が指差す先を見ると池から生える葉っぱの中からにゅっと蕾が伸びている。


 「何の花か知ってる?」


 「睡蓮ですよね」


 私は月明かりに映し出されたたくさんの睡蓮の蕾を眺めた。


 昼花が開いて夜は閉じることから睡蓮って言われるんだよね確か。


 「睡蓮の花って昼間咲くんだよな。昼間に来ればよかったかな。睡蓮の花言葉って知ってる?」


 「知らないです」


 「甘美、優しさ、純情、信頼、純粋・・・俺にぴったりだろ?」


 「池見先生の名前が蓮だからですか?・・・そう言うのって本によって違うんじゃ・・・」


 「そうなんだけど、いいやつだけ信じることにしている」


 「・・・ポジティブですね」


 ナルシストの池見先生らしいかも。


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