恋するplants
「俺さ、7月10日が誕生日なんだけど、誕生花が睡蓮なんだ。そっから取って、蓮な訳さ。親もロマンチストだろ?」
はぁ・・・曖昧に返事をする。
納豆とかだったらウケたのに。
心の中で毒吐く。
「茉雪は何でぼたんなの?冬生まれなの?」
「いえ、夏です。母が入院していた病室の前に芍薬が咲いていたみたいで、それがずっと心に残ってたみたいで、芍薬って名前じゃなんだから花が似ているぼたんになったんだそうです」
「微妙だな・・・」
そんなにはっきり言わなくても・・・私自身、名前の由来を聞いた時はショックを受けたものだ。
でも名前が「茉雪芍薬」だったら、もっと嫌だった。
ゴロ悪いし、草冠多すぎだし。
「立てば芍薬、座ればぼたん~ってどっちも美人を表す花だろ?茉雪らしいじゃないか。ぼたん、可愛らしい名前だ」
ぼたん、ぼたんと連呼する池見先生がふと「で?ぼたんの誕生日は何時なの?」と訊ねてきた。
「7月21日ですけど・・・」
「え?もう過ぎちゃってるじゃん!」
「はい、だから、20歳になって。今日はお酒も・・・」
「行くぞ!飲みなおしだ。移動するぞ、車近くに止めてあるんだ」