恋するplants


 「ごめん、ボーっとしちゃって。何の話だっけ?」


 「もぅ、知らな~い」


 わらびは両腕を組んでそっぽを向き、向かいの椅子に座り直した。


 怒らしてしまったのは私だけど、子供のように頬を膨らませて怒るわらびの表情はかわいい。


 「わらびが言ってたのは、ぼたん先輩ってクリスマスの予定って決まってますか?ってことなんです」


 まあまあとわらびを宥めつつ、わらびの隣に座るきのこちゃんが苦笑いを浮かべながらそう訊ねてきた。


 「何で?」


 「今年、元新聞演劇部のみんなでスキーに行こうって企画を立ててるんですよ。よもぎくんのお父さんの知り合いにペンションを経営している人がいるらしくて、安く泊まれるっていうんで、檜もすみれちゃんも免許取ったから車出しますし、せっかくだからぼたんさんと楓先輩もどうかな?って」


 スキーかぁ・・・いいなぁ。


 わらびときのこちゃん中学時代からの後輩で、高校を卒業した今もたまにこうして会っている。


 私の数少ない女友達だ。


 わらびは見た目小学生くらいのちっちゃさで、明るく活発でわがままも許せちゃうくらい愛嬌たっぷりの子だ。


 今は、保母さんになるために専門学校に通っている。


 見た目子供なのに子供の世話なんてバカにされちゃうんじゃないかしら?なんて思うけど、本人は日々、頑張っているらしい。


 きのこちゃんはいい子の代表みたいな子で、周りにいつも気を遣えるし、いつもえくぼを作ってニコニコと笑っている姿を見ると癒される。


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