恋するplants


 「そういえばぼたんちゃんは彼氏いないの?いるよね?ぼたんちゃん美人さんだもん」


 百合さんは私を見てそう訊ねた。


 まさか蓮のこと好きなワケじゃないよね?私は蓮のこと好きなんだからね。


 この人が私と蓮の関係を何処まで知っているのか知らないけれど瞳の奥でそう言われてる気がする。


 面倒くさくなり、嘘をつくことにした。


 「いますよ」


 「え?いたの?」


 隣の蓮が驚いたように目を丸くする。


 嘘だってば!と視線で合図するけど、いいこと思いついた~と百合さんの一声でかき消されてしまった。


 「今度の日曜ダブルデートしよう!」


 「え?」


 名案とばかりはしゃぐ百合さんを見て、私も蓮も声を揃えた。


 「私と蓮とぼたんちゃんとその彼氏さんで」


 百合さんはそう言い満足そうにうんうんと頷いた。


 

 ★



 ランチタイムの大学内のカフェテリアは生徒たちで賑わっていた。


 私の前にハヤシライスが、向かいに座る秋川の前にはビーフシチューセットとデザートのキャラメルプリンが置かれている。


 秋川は水でノドを潤すとふぅとため息をついた。

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