恋するplants
サッカー少年 柏
「えぇ?茶髪くん、彼女いるんだぁ~」
いつもの通学電車、いつもの定位置にいつもの3人が集まった。
12月に入ってから最近、急に冷えてきたので、3人ともコートにマフラーを巻き付けている。
満員電車で車内の温度が上がり、私も2人も暑くて頬が赤く染まっている。
がっかりするエリカとは反対に、ゆかりが興奮しながら私に訊ねてきた。
「それより、いきなりよもぎさんの家に行って、よもぎさんの手料理食べたってどういうこと?」
「いつの間にそんなに急接近してたの?」
「へへへ・・・」
わざとらしい笑い声を上げながら、柏との出会いについて話す。
2人の顔がみるみるうちに輝きを増し、
「すごいじゃ~~ん、ちえり!」
と声を揃えて私に近寄る。
隣に立って参考書に目を通していた男子学生が迷惑そうにこちらを見てきた。
その人にすみませんと会釈をして、声大きいよと2人の顔を順繰りに見る。
「だってさ~」
ゆかりがエリカの顔を覗きこんで、にやりと笑う。
「茶髪くんと違って、よもぎさんに彼女がいないことは学校祭で確認済みだし・・・」