恋するplants


 ランチが終わると私たちは返却口に食器を返した。


 「ほっといてよ。それより、コーヒーか何か飲む?午後の授業、寝ちゃいそうじゃない?」


 「賛成。これもおごり?今日は茉雪様々ですな」


 ホッホッホッと秋川はわざとらしく笑う。


 相変わらず寒い奴。


 自販機の前でジャケットから小銭要れを出そうとした所で一緒に定期入れ
が落ちてしまった。


 秋川が屈んで拾ってくれた。


 「ありがとう」


 「懐かしい。これって僕があげた元祖ピコピコハンマーだよね?まだ持っててくれたんだ」


 秋川が嬉しそうに声を上げたので、何か照れてしまった。


 高校生の時から使ってる定期入れだったからたまたまなんだけど・・・秋川から定期入れを受け取ると定期入れについたキーホルダーのピコピコハンマーを眺めた。


 随分汚れてきたな。


 「最近はピコピコハンマー持参してないよね。茉雪ぼたんの武器だったのにね、アレ」


 「高校卒業と同時に卒業したの。私は大人の女になるんだから」


 ブッと秋川が噴出したので、私はキーホルダーのピコピコハンマーで秋川の頭を小突いた。


 ピコンピコンと気の抜けた音が鳴った。


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