恋するplants
いけない、いけない。
遊園地に来たんだから楽しまないとね。
私だって蓮と付き合ってないけど、一緒のベッドで寝たり、泊まったりしてるし、私以外のそういう女の人がいても不思議じゃない。
私以外にも・・・
「蓮、髪にゴミついてる」
百合さんは足を止め、蓮の前髪を撫で、取れたと笑みを向ける。
「サンキュ」
蓮はお礼を言う。
百合さんは笑顔のまま私たちを振り返り、早く~と手招きした。
隣でパンフレットを眺めている秋川の左手をぎゅっと握った。
「何?」
秋川は少し照れながら私の顔を覗き込んだ。
「今日は私の彼氏なんだから、これ位してよ」
秋川は見ずに前を歩く2人を見た。
秋川は右手でパンフレットをベストのポケットに突っ込むと了解と呟いて、私の右手を強く握り返した。
★
子供のようにはしゃぐ百合さんと蓮の後を追って、秋川と手を繋ぎながらお化け屋敷へと向かった。
お化け屋敷の入り口で2人は私たちを待っていた。
蓮が私と秋川の繋がれた手を一瞥した。
何事もなかったように入ろうかと先へ進む蓮の姿に胸が少し痛む。