恋するplants
「秋川、私の飲んでいいよ」
「そっか、じゃあ、茉雪のでいいや」
秋川が席に座り直すと蓮が自分の飲み物を秋川の前に置いた。
「俺のあげる。何だか寒くなっちゃったから暖かいの買ってくる」
そう言うと蓮は席を立った。
百合さんは何も言わずに私たちを眺めていた。
ランチが済むと私たちはアトラクションへと向かった。
ジェットコースターにコーヒーカップ、百合さんが蓮、蓮とはしゃぐので、私もつい秋川の腕を引っ張って、仲良しアピールをしてしまう。
メリーゴーランドに百合さんと2人で乗って、私たちの様子を眺める蓮と秋川に手を振るのもバカバカしいと思いつつもとびっきりの笑顔でやってしまった。
こんなところで百合さんと競り合ってどうする気なんだろう?と頭の中で冷静な自分が言うのだけれど、考えと行動がばらばらで、百合さんが甘えた声で蓮を呼ぶと急に対抗心が生まれてしまう。
大人げないと頭ではわかっているのに、自分が嫌になる。
再びジェットコースターを乗り終わったところで元々、絶叫系が苦手な秋川が青ざめた顔でトイレに向かった。
大丈夫?と声をかけると後から追いかけるから先、行っててと背中を押された。
2人が待つジェットコースターの前のベンチに戻ると百合さんの姿が見えなかった。
「あれ?百合さんは?」
「友達から電話かかって来たみたいで」