恋するplants


 蓮が指差す方を見ると50m位先に設けられた喫煙コーナーでタバコを吸いながら電話をしている百合さんがいた。


 「蓮は吸わないの?」


 「俺は一服したところ」


 ふぅんと頷き、蓮の隣に座った。


 蓮から微かにタバコの匂いが漂ってきた。


 蓮の吸うメンソールのタバコの匂い。


 「秋川くん、大丈夫なの?」


 「うん、今、ちょっとトイレに篭ってる。付き合おうかって言ったけど、吐いてるとこ見られるの嫌みたい」


 そぅと蓮が小さく頷いた。


 蓮はヒザの上で両手を組むとゆっくりとした口調で訊ねた。


 「秋川くんってぼたんと同じ高校だよね。俺も会ったことあるよね?」


 「あの時はクラス違ったけど・・・秋川のクラスの日本史の授業にも出てたと思う」


 「何か感じ変わったな、彼。もっと、なよなよしてるイメージだったけど」


 なよなよって今でも男友達よりも女友達の方が多いし、多少外見は変わった気はするけど、秋川も3年で変わったのだろうか。


 「よく、ぼたんの話に出てくるから、仲が良いって思ってたけど、付き合ってたとは知らなかったな。言ってくれれば良かったのに」


 「それは・・・」


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