恋するplants
百合さんに咄嗟についた嘘で、秋川のことは好きだけど、恋人とかそんなんじゃない。
そう言い掛けたところで、
「ぼたんに合ってると思うよ。彼を見てたらぼたんのこと大切に思ってるのがわかる」
いつもの爽やかな笑みを浮かべる。
何でそんなに穏やかに笑うの?秋川と付き合ってるのは嘘なのに。
私、蓮に何かを期待してた?心の中に靄が広がっていく。
嘘を弁解したかったのに、祝福されるなんて・・・結局、私は何も言えずに俯いた。
★
秋川のトイレから戻って来たところで百合さんがアレに乗ろうと観覧車を指差した。
百合さんは蓮の腕を引っ張って乗り場と向かう。
「よかったら2人で乗ってきてください。秋川、まだちょっと気持ち悪いみたいで」
列に並ぶ2人に声をかけて、乗り場近くのベンチで2人が降りてくるのを待つことにした。
秋川に温かいお茶を差し出し、目の前の観覧車を見上げた。
2人が丁度、ゴンドラに乗るところだった。
「何か、元気ないように見えるけど、疲れてるの?」