恋するplants
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Un Joli amant 、「かわいい恋人」と名づけられたケーキ屋さんに足を運ぶのは久しぶりのことだった。
秋川のお兄さんが経営するケーキ屋さんだ。
ヨーロピアンスタイルのアイアンの門扉を開け、石畳の敷き詰められた入り口までのアプローチを進む。
左側の花壇にコニファーが植えられ、右側の庭には淡い紫ビオラと白いアリッサムが咲き乱れている。
ガラスの扉を押して中に入ろうとしたけれど、鍵がかかっているようだ。
一歩下がって見ると、扉には「定休日」と札がかかっていた。
お店の中は明るく、外から見ても奥の厨房で人が動いているのが見える。
どうしようか店の前をうろうろ歩いてると、厨房からコック服を着た背の高い男性が出てきた。
秋川のお兄さんだ。
扉をトントンと叩いて、あの~と叫ぶ。
お兄さんがようやく私に気付いてくれて、扉の鍵を開けてくれた。
「茉雪さんだっけ?どうしたの?」
何度か会ったことがあり面識のある秋川のお兄さんは、柔らかい微笑みを浮かべて、寒かったでしょ?と中へと通してくれた。
「あの、楓くんに話があって、家の方に行ったら、お母さんが出て、お店にいるからって教えてもらって」
秋川の家は1階がケーキ屋で2階が家族の自宅になっている。
お店と入り口と自宅の入り口は反対側にあって、いつも秋川に用事が
ある時は自宅から上がっていたので、お店に顔を出すのは久しぶりだった。