恋するplants
クリスマスが近づいてきた店内はクリスマスの装飾が施されている。
扉を開けたところに大きなポインセチアの寄せ植えがあり、カフェスペースになっている店の奥には電飾つきのクリスマスツリー(お店が休みなので電気はついていない)が、テーブルには小さなポインセチアがそれぞれ置かれている。
「楓、今呼んでくるから、ちょっと座って待っててもらえるかな?」
秋川のお兄さんはカフェスペースの電気と暖房をつけると、再び厨房へと入っていった。
お客さんのいないカフェスペースに座りここ2、3日のことを思い出していた。
秋川とは遊園地に行った日以来、話してなかった。
メールをしてみたものの、返信はなく、授業でも離れた席に座り、終わるとすぐ教室を後にしてしまう。
避けられているのは明らかだった。
だからといってこのままお互い避け続けるのも苦しかった。
とにかく謝りたかった。
秋川が隣にいないと寂しかった。
香ばしいコーヒーの香りがして、暫らくすると秋川がトレンチにコーヒーを持って私の座るテーブルにやって来た。
「ちょっと待ってて。ちょっと、味見してもらいたいんだけど」
秋川はしれっとした表情で、コーヒーを目の前に置くと、再び厨房へと戻っていった。
バニラの甘い香りが漂ってくると秋川はパンケーキのプレートを私の目の前に置いた。
小さなガラス瓶に入ったメープルシロップを円を描くようにたっぷりとパンケーキにかける。