恋するplants
「どうぞ召し上がれ」
ほくほくと湯気の上がった焼きたてのパンケーキをフォークとナイフで切り分け、口に運んだ。
外はかりかりなのに中はふわふわのパンケーキが舌でとろける。
たっぷりかかったメープルシロップの甘さが優しい。
蓮の作ってくれるパンケーキの好きだけど、それに負けない位おいしいパンケーキだった。
「おいしい。秋川が作ったの?」
「よかった。練習した甲斐があった」
秋川はいつものようにっこりと笑った。
その笑顔にホッとすると同時にぽたりと涙がこぼれた。
「どうしたの?」
向かいの席に座った秋川が慌ててボックスティッシュを取る。
おかしいな、泣くつもりなんてなかったのに・・・
「秋川、ごめんね・・・私、秋川の気持ち考えてなかった・・・自分でもバカみたいに百合さんと張り合ったりなんかして・・・」
秋川は私をじっと見つめたまま何も言わなかった。
「蓮、池見先生とは、夏に偶然再会した時からマメに会うようになったの・・・」
「・・・知ってる。実は一昨日、偶然、池見先生に会って一緒に飲みに行ったんだ。池見先生から茉雪のこと聞いたよ」
「秋川に言わなかったのは、池見先生とは何にもなかったし、冬月先生の時みたいに秋川に気を遣わせちゃったら悪いなって思って」