恋するplants


 郵便受けの隣に置いてあるゴールドクレストの鉢を持ち上げ、スペアキーを取り出した。


 蓮はいつもここにスペアキーを隠している。


 「来たい時にいつでも来ていいよ」そういって、スペアキーの場所を蓮は教えてくれた。


 蓮より後に家を出る時に使う位で、蓮のいないときに蓮の家に上がるなんて気が引けて出来なかった。


 初めて、スペアキーを使って玄関の鍵を開けた。


 「おじゃまします」


 一応、そう言って、家の中に入った。


 家の中はしんと静まり返っている。


 やっぱり、出かけてるのかな?そう思って帰ろうとしたらごろんと何かが床に転がる音がした。


 そのまま、キッチンを通って1階の奥にある蓮の寝室へと向かった。


 ゆっくりとドアノブに手を伸ばす。


 「蓮?」


 扉を開くとむせるくらいに煙かった。


 タバコの匂いだ。


 換気をしていないみたいで煙が部屋中に漂っている。


 タバコの匂いと共に酸味のあるアルコールの匂いが鼻についた。


 床に何本もワインの空瓶が転がっている。

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