恋するplants


 星1つ出ていない空を眺めながら息を吐いた。


 車の往来すらない。


 道の向こう側から誰かの息使いが聞こえる。


 走っているみたいだ。


 誰かジョギングでもしれるのだろうか?


 もしくは変質者?


 急に怖くなり膝を抱えて小さく丸まった。


 足音と息遣いが近づいてくる。


 私は目をつぶった。


 やがて、足跡は私の前で止まり、苦しそうな息遣いが聞こえる。


 目の前に誰かいる。


 私はおそるおそる目と開く。


 足元を見た。


 サンダルとスニーカーをちぐはぐに履いている。


 視線を足元から上に流す。


 細身のスーツのズボン、だらしなく出ているYシャツ、寝癖だらけの頭。


 「蓮・・・何で」


 目の前に蓮が立っていた。

< 371 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop