恋するplants


 「ぼたん」


 蓮が私の名前を呼んだ。


 「・・・すみません。結構です」


 運転手は呆れた顔をしてドアを閉めた。


 バスはブロロロ・・・とエンジン音を鳴らして暗闇に去って行った。


 「ぼたん?」


 蓮がまた私の名前を呼んだ。


 「・・・私は蓮のことが好きだよ。本当は夏に再会時から惹かれてたの。でも、恋愛に臆病になってて自分でも全然気付かなかった。それ位、鈍感なの、私は。悪い?」


 蓮に背を向けたまま叫ぶように言い放った。


 せっかく止まった涙がまた溢れそうになる。


 蓮は何も言わない。


 これ以上、私をみじめにさせないでよ・・・


 「ゴメン」


 後ろから蓮にぎゅっと抱きしめられた。


 うなじに蓮が顔を埋めて囁いた。


 「ゴメンね。ぼたん・・・愛してる」 





< 373 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop