恋するplants
バスタブの端に逃げて、蓮の体が視界に入らないように窓の外を見ていた。
真っ暗な浜辺からは打ち寄せる波だけがぼんやりと白く見える。
ジェットバスの音で波の音までは聞こえないみたいだ。
蓮がバスタブに浸かり、バスタブの縁にアロマキャンドルを置いて、何かをグラスに注いでいるようだ。
「ずっと、そっぽ向いてるつもり?」
「だって、恥ずかしいもの」
「大丈夫、泡で何にも見えないよ」
蓮の言葉を信じて振り返った。
蓮はシャンパングラスをこちらに差し出している。
アロマキャンドルの灯かりが優しく微笑む蓮を映した。
泡のついた手で受け取った。
シャンパンかな?と思ったら中はペ○エだった。
ほのかに香るレモンの酸味が泣いてからからに渇いたノドを潤してくれた。
飲み干したグラスをバスタブの縁に戻すと蓮が私の手を取り、体を引き寄せた。
蓮はぎゅっと私を抱きしめた。
心臓が急にばくばく言い出して、体が強張るのを感じた。
蓮の肌に触れるのは初めてのことで手をどこに置いたらいいのかわからない。
蓮は私を抱きしめると首筋に顔を埋めた。