恋するplants


 「兄さんが事故に遭ってさ、慌てて病院に行ったらさ、母さんが言ったんだ・・・蓮だったらよかったのにって」


 どくんと胸が痛くなる。


 蓮は強く私を抱きしめているのに、声は弱々しかった。


 「いくら気が動転してたからって、ひどいよな。俺だって、母さんの子供なのに。やっぱり、両親にとっては兄さんの方が俺なんかよりずっと大事なんだって解った。・・・そんなの前から解ってたのに・・・むしゃくしゃしてぼたんに当たってごめん」


 あぁ、そうか。


 何となく解った気がする。


 私が蓮に惹かれる理由。


 つらいのにつらいって言わない。


 意地張って、何でもないような顔をしてしまう。


 周りを気にして合わせてしまう。


 笑顔の下に孤独を隠してる。


 私たちって似てるんだ。


 お兄さんが事故に遭ったって聞いて、蓮が心配になったのも、家族の事を話す時の蓮が、冷静を装っていても、心の中で感じている寂しさを私は感じとっていたのかもしれないな。


 蓮の腰に手を回した。


 蓮は驚いて顔を上げた。


 今にも泣き出しそうな顔をしていた。


 そんな蓮と目が合い、ゆっくりと唇を重ねた。

 
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