恋するplants


 私が2人を紹介すると檜さんは片手をひらひらとさせ、よろしく~と微笑んだ。


 エリカは檜さんの笑顔にやられたのかポーとしている。


 ゆかりも檜さんと同じくらいに満面の笑みを浮かべている。


 檜さんの隣にいるよもぎさんをちらりと横目で見る。


 今日のよもぎさんはカーキのモッズコートを羽織り、細身の黒のパンツを黒のブーツにインしている。


 よもぎさん、シックだけどオシャレです。


 隣で鮮やかなブルーのダウンジャケットを羽織り、ジーパンの下からカラフルなスニーカーが見える檜さんとは正反対だ。


 よもぎさんは不思議そうに首を傾げて、私たちを見ていたけれど、あぁと微かに納得したような声を出した。


 「ちえりちゃんのこと、どっかで見たことあるような気がしてたんだよね。・・・ひょっとして、俺の学校の学校祭に来てた?」


 はい、昇降口の所で一緒に写真を撮りました!・・・よもぎさんはやっと思い出してくれたみたいだ。


 と言っても、無理矢理2ショット写真を撮ってもらったからちょっぴり恥ずかしいんですけど。


 「そうです!昇降口の所で会いましたよね?ちえり、よもぎさんをいつも朝の電車・・・」


 おしゃべりなゆかりがよもぎさんに暴露する直前で慌てて口を押えた。


 いつも朝の電車の向かいのホームから見てるなんて言ったら、ストーカー扱いされるかもしれない。


 せっかく仲良くなり始めたのに!

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