恋するplants
恋するメープルシロップ

神無月



 ★


 (外国の田舎町を連想させるような街並み、都会からやって来た双子の姉弟。家族と引越しの荷物を乗せたトラックは大きな陸橋を渡っている。姉弟はこれから始める新しい生活に不安と期待をしている)


 僕はいつだって物語の世界と現実の世界を自由に行き来している。


 夏休みに兄と旅行したオーストラリアの田舎町。


 広くて夏にはきっと青々とした芝が生い茂る庭と玄関先を彩る花木。


 レンガ造りの平屋。


 道路はまっすぐに伸び、ブロック毎に分かれた家が並ぶ。


 時々、道の隅に立つポールはバスストップのサインだそうだ。


 道のギリギリに出された大きなゴミ箱。


 殺風景だけどのんびりとした雰囲気だ。


 舞台はあの街。


 なんの変哲もない田舎町。


 兄と立ち寄った田舎町のメインストリートで「CANDY FACTORY」というキャンディ屋を見つけた。


 子供たちが店頭に集まっている。


 パティシエである兄はその店に興味深々で、僕は路肩にレンタカーを止め、キャンディ屋に立ち寄った。


 店はガラス張りになっていて店内の様子がそっくり見える。


 こじんまりとした店にはチョコレート色の木の枠のガラス戸があり売り場へと続いている。

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