恋するplants


 「・・・すみません」


 「え?」


 「・・・吐きそう!」


 「えぇ!?」

 


  ★




 彼女を店のトイレに案内し、厨房へと入った。


 電気を付け、冷蔵庫の中を確認する。


 几帳面な兄はきちんと今日の分の仕込みを作っている。


 冷蔵庫の中には売る分のロールケーキのスポンジが並んでいる。


 連日完売なので残りのケーキはない。


 仕込みの分を勝手に使うわけにもいかないし・・・こんな夜中にケーキが食べたいなんて、一体どうすればいいんだ。


 ふと冷蔵庫の下に玉子のダンボールが置いてあるのを見つけた。


 奥の倉庫には小麦粉が。


 「パンケーキなら作れるかな」


 呟いてみる。


 昔、父さんがケーキを作る横で兄とおやつに作ったのを思い出した。


 何となく、その頃のことを思い出しながら、ボールに小麦粉、玉子、牛乳を入れ混ぜる。


 確かバニラエッセンスも入れるんだっけ?手探りでパンケーキ作りを始める。

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