恋するplants
ガス台の前に立ち、フライパンにバターを溶かす。
お玉で生地を掬い、丸くなるようにフライパンに落とす。
生地の表面がふつふつと穴が空いてきたところで裏返す。
なかなか様になってるんじゃないか。
程なくして形も焼き色もいびつなホットケーキが焼きあがった。
2、3枚を重ねて、皿に盛り付けた。
兄のようなデコレーションの才能はないので、絞り器に入ったホイップクリームを拝借し、てっぺんにくるりと円を描き、ミントの葉を乗せてみた。
「大丈夫?」
パンケーキを片手に店内に戻ると彼女はトイレに一番近いテーブル席に座っていた。
「吐いたらすっきりしました。ありがとうございました」
少し酔いが冷めたのか彼女は頭を下げてお礼を言った。
「ケーキ食べたいって言ってたから。ごめん、営業時間じゃないからこんなものしか出せなくて」
「パンケーキ?良い匂い」
彼女の前にホットケーキの皿を置くと、鼻をくんくんさせて笑った。
「胃が空っぽになったらお腹すいちゃった。食べてもいいですか?」
「あ、ちょっと待って。誕生日って言ってたよね、何歳になるの?」
「22です」