恋するplants
よもぎさんの隣に座る檜さんがそう言ってひゃっひゃっと変な笑い声をあげた。
恥ずかしがるよもぎさんを横目に最前列に座るよもぎさんの両親を眺めた。
マフラーをぐるぐる巻きにしてひざ掛けをしたお母さんはキレイな人で、目鼻立ちによもぎさんの面影が見える。
柔らかそうな髪質はお父さん似かな?さらさらと寒風になびく髪はよもぎさんと柏のそれだ。
ハンディカメラを片手に息子の勇士をおさめる準備は万端だ。
ピーとホイッスルが鳴り、キックオフとなった。
実は、ワールドカップの時しかサッカーを見ない私はあまりサッカーに詳しくない。
ボールがあっちに行ったりこっちに来たりを追いかけるばかりで精一杯だ。
隣に座るエリカとゆかりもぽかんと口を開けて眺めているから私と同じなんだろう。
檜さんは中学時代はサッカー部だったらしく、よもぎさんの両親と同じように、
「そこだ~、柏、走れ~!!」
興奮した様子で立ち上がり、グラウンドに向かって吼えていた。
よもぎさんは比較的クールに試合の行方を見守っていたが、柏がゴールを決めるとよし!と拳をあげ、檜さんとハイタッチをした。
ピーーーー
試合終了のホイッスルが鳴り響き、応援席に歓喜の声があがった。
5対2で勝利、柏はハットトリックを決めた。