恋するplants
霜月
★
(キャンディ屋には不思議な噂があった。オーナーである魔女にオーダーメイドでキャンディを作って貰うと作ってもらった人の願いが叶うのだと。その噂を聞いた双子は早速、丘の上の店へと向かう。
「ここでオーダーメイドのキャンディを作ってもらうと、作って貰った人の願いが叶うって聞いたんです。私たちのために作ってもらえませんか?」)
「・・・うおぅ」
急に肩を叩かれ変な声を上げてしまった。
すっかり自分の世界に浸っていたらしい。
不意をつかれた。
「何度も呼んでるのに気付かないから」
「茉雪か。ごめん、没頭してた」
茉雪は仕方ないなと言う風に呆れ顔で僕を見た。
僕らが話していることに苛立ったのか同じ机で勉強していた学生がゴホンと咳をする。
「ここじゃなんだから外出よう」
僕は机上に広げたノートをいそいそとカバンに仕舞い、螺旋階段を指さした。
良く晴れた11月の日曜日の午後、僕は自分の家からだとだいぶ離れた所にある市営の大きな公園に来ていた。
運動場や体育館、プールにジム、おまけに図書館が広い敷地に建っている。