恋するplants


 何だこの展開は・・・僕は畑中椿の猿芝居に呆れた。


 あの演技で騙される山下くんは馬鹿だな。


 2人を背にして、みんなが盛り上がっているレーンへと向かった。


 茉雪はみんなから少し離れた席にぽつんと座り、ハイタッチをするクラスメイトを眺めていた。


 君が壁を作っている理由が解った。


 きっと中学の時も、嫉妬の標的になっていたのだろう。


 辛い想いもして、それで周りからちょっと引いた位置に立って自分を取り繕っているのかもしれない。


 「・・・コーヒー飲める?よかったらどうぞ」


 僕は自動販売機でカフェオレを2つ買い、1つを茉雪の前に置き、隣に腰を下ろした。


 茉雪は訝しげに僕を見ていたが、クラスメイトだと解るとありがとう、秋川くんと初めて名前を呼んでくれた。


 「やらないの?」


 「1回やったら疲れちゃった。見てる方がいいわ。秋川くんは?」


 「僕も、ここで見ることにするよ」


 本当は今日ここに来たのも、茉雪が参加するって聞いたからだ。


 クラスで浮いている僕が好んでみんなといる訳がない。


 それから僕らは話すわけでもなくみんなが盛り上がっている様子を眺めていた。


 奥から飲み物を手に畑中椿と山下くんが仲良さそう歩いてきた。

< 406 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop