恋するplants
冬月柑子(ふゆつきこうじ)というその実習生が放課後、誰もいない教室でクラスの女子をとっかえひっかえ口説いているのは知っていた。
大抵は拒否されていたけれど、茉雪は先生の罠にはまってしまったみたいだ。
偶然、キスしている所を見かけてしまった。
そして、そんな2人を陰で見ていた人物がもう1人、畑中椿だ。
日曜日に冬月先生が畑中椿と店にやって来たのにはびっくりした。
僕は店が忙しい時は接客を手伝うことがある。
コック服を着て、ハンチングをかぶっていたからか、もともと僕の存在に気付いてなかったのか、2人は堂々と腕を組み、カフェスペースでお茶して行った。
人目も気にせずいちゃつく2人を白けた目で見ている僕がいた。
2人は終始、自分たちの世界に入り込み、周りを意識してなかった。
山下くんとはもう別れてしまったのだろうか?
あのボーリング場の出来事も数週間前のことなのに。
きっと、あれこれ茉雪のことを悪く言って、また手中に収めたのだろう。
山下くんは畑中の小悪魔ぶりに気付いただろうか。
気付いてくれることを祈るけれど。
教育実習最終日に放課後、教室でキスをしている2人を茉雪は偶然見つけてしまった。
茉雪が失恋した瞬間だった。