恋するplants
「送ってくれてありがとう。今日、色々話せて楽しかった」
「うん、こちらこそ」
「それと誕生日に楓くんが作ってくれたパンケーキも、温かくて甘くて、あれで私、救われた気がしたんだぁ。ありがとう」
---ありがとう、秋川
いつかの茉雪とイチゴちゃんがかぶった。
ありがとう。
僕の心に勇気をくれる魔法の言葉だ。
「またね」
「うん、また」
イチゴちゃんは片手を軽く振ると改札口に消えて行った。
僕はふわりと翻った彼女のワンピースの裾を眺めていた。
森の中にいる妖精みたいだなと思った。
かわいい妹のような高校時代の後輩を思わせるようなラブリーさだ。
あ、彼女の方が僕より年上か・・・
「あ」
帰り道、突然立ち止まった僕にモンブランが擦り寄ってきた。
「しまった。またねって、イチゴちゃんの連絡先、訊いてなかったじゃんか」
また、彼女が店に来るまで「またね」はない。
僕は屈み、足元のモンブランの顔を両手で抱えモコモコの毛をぐちゃぐちゃに撫で回した。