恋するplants
望月わらびちゃんと言う。
ちっちゃくって、小動物のように動き回る、元気な彼女は僕のかわいい妹のようなものだ。
「わらびちゃん、ラブリーすぎるっ!お持ち帰りしたい!!」
「楓ちゃん、キモ~い」
このやり取りも僕らの挨拶みたいなものだ。
「ごめんね、来てもらって悪いんだけど、店長、今、手が塞がってて、ちょっと待ってもらってていい?」
わらびちゃんは僕を店の真ん中にどんと立つ林檎の木のオブジェをぐるっと囲むバームクーヘンのような形のテーブルの席へと案内した。
お水とメニューを持ってくると、
「好きなもの頼んで」
と僕の前に差し出した。
「急に貸切りで誕生日パーティーの予約が入って、店長、料理作ってんの。もうちょっとで料理が全部出るから」
わらびちゃんがこそこそと耳打ちする。
店内に入った瞬間から子供たちの騒ぐ声が聞こえるはずだ。
奥の階段を上った先のスペースには10組程の親子がパーティーをしている。
僕はかわいらしい名前のついたメニューの中から「森のくまさんはつみつトースト」と「野うさぎのラズベリーティー」をオーダーした。
かしこまりました~とわらびちゃんがキッチンへ向かうと僕は店内を見渡した。