恋するplants
僕はテーブルの上に置かれたミニトートを手に取る。
紺と深緑に鮮やかな黄色の入ったタータンチェックのキルティングにカバンの淵にベージュのコットンレースがあしらってある。
外側についたポケットには種類の違うボタンが縫ってあり、四葉のクローバーのアップリケが貼られている。
なかなか凝ったデザインだ。
「趣味みたいなものなんだけどね。就職先が、子供服のメーカーだから、色々勉強になるの」
イチゴちゃんは得意そうに答えた。
「そうだ。この間、テイクアウト用のケーキ忘れたでしょ?兄がこの間の分用意するって言ってたよ」
「本当に?近いうちに是非!私ってどっか抜けてるみたいで、うっかり忘れちゃうんだよね。ケーキのことも家帰ってからだよ。気付いたの」
「僕もあの日、うっかり忘れたことがあるんだ。よかったら、教えてもらってもいい?イチゴちゃんの携帯の番号、忘れ物をしても伝えることが出来ないからね」
そうだね、ぜひ!とイチゴちゃんは自分の携帯を取り出した。
オリジナルでデコレーションをしているらしく、立体的なイチゴとアラザンの様なピンクのパールが散りばめられた携帯ケースは彼女らしかった。
「イチゴちゃん来てたの?」
奥からわらびちゃんが慌ててやってきた。
2人は顔見知りらしい。
わらびちゃんもイチゴちゃんって呼んでるんだ。
2人が向かい合うと妖精が2人に増えた。