恋するplants


 「あ、この間借りた台本読んだよ。おもしろかった。早速、人形のデザイン考えてみたんだ」


 ひと段落した所でイチゴちゃんはぱっと隣の椅子に置いたカバンを開け、中から紙の束を取り出した。


 前に僕が書いた台本を見せると約束していた。


 この間、わらびちゃんの働くカフェで会った時に手持ちの台本を貸してあった。


 彼女にはその時に人形劇用に使う人形の制作を手伝ってくれないかとお願いしてあった。


 もちろん、彼女の器用さを買ってのことだ。


 クリスマスイブの日にカフェで行う人形劇は今執筆中の話で、幸せになれるキャンディを作る魔女の話にした。


 魔女の作ったキャンディで幸せを貰った双子はキャンディ職人の見習いとして店の手伝いをすることになる。


 折角なのでクリスマスに絡めてオリジナルでストーリーを作ることにした。


 登場人物のイメージを伝えて、イチゴちゃんにデザインしてもらった。


 イチゴちゃんが書いてきた人形のラフスケッチは僕の想像を超えるものだった。


 
 「まず、主人公の魔女は髪の毛も服も真っ黒なんだよね。生地はサテンのシンプルな物にして、イメージでは見た目は冷たそうだけど、優しい人だから胸元にルビーのラインストーンを縫い付けてみようと思って」


 「すごくいいよ、これ」


 「双子のお姉ちゃんはふわふわっとした女の子らしいイメージだから薄茶の毛糸で髪の毛を作って、ワンピースは小さな花柄とレースを使ってかわいく、弟の方はお姉ちゃんと同じ髪の色に瞳の色、わんぱくだからYシャツに蝶ネクタイを締めて茶色のチェックのベストに半ズボン。昔本で読んだ少年探偵団のイメージで描いてみたよ」

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