恋するplants
「すごい。すごいよイチゴちゃん。僕のイメージ通りだ」
僕はつい興奮してしまった。
あんまり僕が誉めるものだからイチゴちゃんは下を向いて照れていた。
人形のイメージも固まって、僕も色々とお話を膨らませることが出来そうだ。
「良かった。楓くんに喜んでもらえて」
「こちらこそ。素敵な人形に負けないくらいいいお話を作らないといけないな」
「楓くんの書いたお話を読んでてちょっと気になったことがあるんだけど、質問いいかな?」
「うん。何?」
イチゴちゃんは言いずらそうに手元の紙に視線を落とした。
人形のラフスケッチが描かれた紙だ。
「楓くんの物語にはいつも同じ登場人物がいるよね。キャンディ屋さんのお話では魔女で、ある時はお姫様で・・・黒髪で美人ででも寂しさを背負ってる。もしかして、楓くんの好きな人なの?」
どきりとした。
僕の書く話の中にはいつも茉雪を連想させる登場人物がいるのだ。
主役だったり、ある時は話の内容に関係ない脇役だったり・・・イチゴちゃんは鋭い。
「実はそうなんだ。ずっと片思いなんだけどね」
「・・・そっか。やっぱりそうだったんだ。今日、何かニコニコしてるのも好きな子と何かあったんだ?」
「何かあったってわけじゃないんだけど・・・」