恋するplants


 「これは、その子が柏のために一生懸命に作ってくれたんじゃないの?柏が食べるべきだよ!」


 ぐっと箱を付き返すと柏は首を横に振った。


 「嫌なんだ。俺は好きな子から貰ったもの以外は受け付けないだ。・・・その子がどうしても貰ってくれって泣くから仕方なく貰っただけなんだよ」


 何それ?だから生意気なんだよ柏は~!


 沸々とこみ上げてくる怒りを抑えつつ、チェリータルトの入った箱を引き寄せた。


 「後で食べなかったこと後悔しても知らないからね!あ~得した!チェリーは私の一番好きなフルーツだから!!」


 嫌味たらしく柏に向かって言うと、柏はくすりと鼻で笑った。


 「ちえりがチェリーって共食いかよ?」


 ぼそりと呟く柏のおでこを小突くと駅に向かってすたすたと歩きだした。


 もぅ~、こんなデリカシーのない奴のどこが好きになったのかしら?と思いながら、夕暮れの中、柏から遠ざかる。


 「ちえり!」


 後ろから柏の声がした。


 何?とちょっと怒り気味に振り向いた。


 「ちえり、髪、伸ばした方がいいよ」


 「はぁ?何、いきなり??」


 「よも兄、髪が長い子が好きだと思うんだ」


 「・・・そう」

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