恋するplants


 「・・・よもぎさんに彼女がいること知ってたんでしょ?」


 ぼそりと呟き柏の目を見る。


 柏の顔がどんどん青ざめていくのが解る。


 ごめん・・・柏は下を向き、小さな声で答えた。


 「知ってて、よもぎさんを好きな私を見て、面白がってたんでしょ?バカな奴だって思ってたんでしょ?」


 「違う・・・知らなかったんだ。・・・ちえりが初めてうちに来た日、よも兄の部屋でプリクラ見つけちゃって・・・ちえりが・・・一生懸命だったから・・・言えなくて・・・ごめん」


 「・・・大嫌い・・・柏の顔・・・見たくない・・・」


 ごめんなさい。


 何度も柏は謝ったけど、私はそれ以上は何も答えなかった。


 柏は諦めたのか足元に落ちた赤い箱を拾った。

 
 箱は落とした衝撃で潰れてしまっていた。


 柏は潰れた箱を私に差し出した。


 「これは・・・俺からのクリスマスプレゼントだから・・・嫌なら捨ててくれても構わないから・・・」


 下を向いたままの柏の表情は見えなかった。


 柏は箱を無理矢理私に押し付けるとそのまま改札口の方に走って行った。




< 57 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop