恋するplants
少し照れながらよもぎさんに向かって言うと、よもぎさんは違うんだ、気を悪くしたならごめんねと微笑んだ。
「柏と一緒だなって思って・・・柏も絶対、シェークを頼むんだ」
「・・・そうですか・・・」
よもぎさんの口から柏の名前が出たので、どきりとした。
愛想笑いを浮かべて、堪らず下を向いた。
・・・柏、元気かな?あの日、以来、電話もメールもしてない。
混み合った店内で空いている席を確保すると、私はよもぎさんと向かい合って座った。
よもぎさんはコートとマフラーを脱いで、自分の席の背もたれにかけた。
よもぎさんのマフラーあちこちに小さな穴が空いてる。
どっかに引っ掛けたのかな?不思議に思って見ていると、私の視線に気付いたのか、
「・・・彼女からのプレゼントなんだ」
遊園地で会ったあの子・・・だいぶ立ち直ったものの、よもぎさんの口から彼女という言葉が発せられるとずしんと気持ちが重くなる。
「あんまり器用じゃないんだけど、一生懸命作ってくれたのが嬉しくて・・・」
「彼女のことすごく好きなんですね」
照れたように笑うよもぎさんを見て、かわいいところもあるんだなと胸がキュンとなった。
いつかよもぎさんのことを自然に忘れられる日が来るまで好きでいさせてください。
絶対口にはしないから。