恋するplants


 面長の顔はおでこがでっぱっていて、唇もひょっとこのように上を向いているので、コートの色と合わせてお豆みたいだなっと思っていたら、


 「あ、紹介するの忘れてたわ。こちら同じクラスの豆田(まめだ)くん。彼、書道部なの」


 と、丸太さんが彼を紹介した。


 思わぬ偶然に口に運んだホットコーヒーを吐き出しそうになる。


 右手で口元を押えて、何とか堪えた。


 「で、丸太さんと書道部の彼が俺に何の用?」


 「は・・・初めまして、白根芹(しらねせり)くん。丸太さんから噂はかねがね・・・」


 思った以上に高い声に拍子抜けしてしまった。


 初めましてとお豆くんに笑顔を返す。


 「豆田の所属する書道部がね、豆田以外全員3年生なのよ」


 丸太さんが話を元に戻す。


 そうなんだと相槌を打つが、実はこの学校に書道部があったことを俺は知らなかった。


 文化部がやたらと多い学校だから仕方ないのかもしれないけど・・・


 「それに加えて、顧問の白樺(しらかば)先生も今年で退職なさるの」


 「白樺先生?」


 あぁ、日本史の白樺菊雄(しらかばきくお)、通称おじいちゃん先生だ。


 担当は日本史だが、世界史の知識も半端ない。

 
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